大判例

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福岡高等裁判所 昭和29年(う)1670号 判決

記録並びに証拠にあらわれた諸般の事情、殊に被告人自身及び同居の被告人の弟らにおいて平素覚せい剤を常用していた事実、被告人方より出て来た後藤治重、藤丸津留賀らにおいて覚せい剤を所持していた事実、被告人は覚せい剤の不法製造のほか、覚せい剤の有償または無償の不法譲渡、有償の不法譲受の事実につき本件とは別に起訴されている事実等に徴すれば、被告人の本件覚せい剤の譲受、所持の目的は、必ずしも自己使用のためのみに限らず、時宜によつては有償または無償譲渡のためであつたものとも認められ、このようにその目的が多様にわたつていて特定し難い場合における覚せい剤の譲受の所為と所持の所為との間には、通常手段結果の関係があるものとは認め難く、また所論の如く両者を包括一罪と見るのも相当でなくまた立法の趣旨も、このような両個の所為はその取締の目的の徹底を期するため、それぞれこれを別個独立の所為として処罰するにあるものと解せられるので被告人の本件覚せい剤の譲受、所持の所為は併合罪を構成するものと解するのを相当とし、右と同一の見解に出て併合罪の規定を適用処断した原判決に、法令の適用を誤まつた違法があるものとは認められない。この点に関する論旨も理由がない。

(裁判長裁判官 筒井義彦 裁判官 柳原幸雄 裁判官 岡林次郎)

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